生き字引

国政調査員をやっていると辛いことも色々あるが、
いろいろな人とお知り合いになり、かつ親しくお話を
させてもらえる、という副作用もある。

僕の担当はほとんどが一軒家なので(長屋も含めて)
わりと近所の動向に敏感な地域だと考えても良い。

しかし、ほとんど地域の行事や活動に参加もしなけ
れば、最初の引っ越しの挨拶を除いて、ほとんど近
所の人と話などすることもない、と言うのが現状だ。

なので、国勢調査のマニュアルに

「住んでいる人と連絡が取れなければ近所の人に尋ねて・・・」

と言うくだりがあるが「隣に住んでいても分からない」
というのが現状じゃないでしょうかね。特に都会では。

そんな中において、今回「近所の生き字引」のような
おばさんと知り合いになった。
5年前には同じ国勢調査の調査員をやっていたというKさん
である。

最初にKさん宅を訪れたのは9月23日、調査票を配って歩
いた10軒目のこと。。。

「すいません国勢調査票を持ってきたのですが?」
「どーも、ご苦労さんです」
「あ、いえいえ」
「前回、えーっと5年前ですか、わたし国政調査員やってましてん」
「あっ、そーなんですか?」
「そーなんよ、大変でしょ、留守が多いんで。。。」
「はは、たいへんです!」
「ここじゃなんなんで、上がって下さい!」
「あ、いや、玄関で結構です・・・」

とこれからおばさんの怒濤のしゃべりが続き、「早く、他の家、
まわりたいなぁ・・・」という僕の思いが微塵も通じることなく
30分ほどお話を伺った。

僕はこの時思った

「俺なんかより、よっぽど国政調査員向きやのになぁ・・・」

現在はダンナさんと2人で暮らしており、お仕事の方は
されてないようなので、僕みたいな忙しい隙間を縫って国政
調査員やってるものに比べ何倍も余裕があるし、その上
近所に対して抜群の知名度もあるし、精通もされているのだ。

例えば回収の時も

「ここのSさん宅ってどうなってるか知ってます?」

「あぁ、ここは一昨年まで夫婦で住んではったんやけど
次々と亡くなってねぇ、今は誰も住んでへんと思うわ!」

「じゃあAさんっていうお宅は?」

「ここはねぇ、去年おばぁちゃんが亡くなって、時々息子
さんが来られるみたいやけど、住んではいないと思うよ」

う~ん、まるでスパイのようなみごとな解説である。
国勢調査するより「このおばちゃんにみんな聞いたほうが、
正確ちゃうんか?」と思ったりして。。(笑)

投稿者 irisa : 2005年10月03日 15:36

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