■ニューアルバムインタビュー(2008年12月)

Q.新しいアルバムを一言で言うとどのような感じなのでしょうか?

野田:つかまるべき「吊り革」がすこし実感を持って見えて来た、という感じでしょうか。


Q.前回のアルバム「World Flute Spilit」では「つかまるべき“吊り革”がない」ことがライナーノーツと書かれていましたが、その吊り革が見えてきたわけで
すね?

野田:たくさん迷っていろいろ悩んで、バンド内でのミーティングもいっぱいやって、ちょっとだけ見えてきた・・・・かな。
メンバー各人が自分のやるべきことを自覚して、言いたいこと(音楽上での)を言えてるし、それがアレンジ的な側面からもちゃんと有機的にからみあって・・・。
つまり、「バラバラちゃうで〜!」と。
結果、「この曲で言いたいこと表現したいことはこれです」というのがより明快/明解になってきたと思います。


Q.このアルバムのレコーディングは小倉さんの自宅スタジオで行われたらしいですが?

野田:ファースト・アルバムは、わりとライブぽい作りかたをしたので、今回セカンドは、レコーディングでしかできないこと、をやってみようということで、たとえば、何種類ものパーカッションを中村順一ひとりで多重録音したり、ギターもバッキングとソロを別録りしたりね。
全員が集まれるスケジュールを調整するのはけっこうタイヘンなんですが、今日はパーカッションだけ、今日はギターだけ、という作業プロセスにしたら、スケジュール調整もラクやしね。
で、小倉昌浩の自宅スタジオでまずパーカッションとギターをじっくり時間をかけてレコーディング。それをベーシックに、グランド・ピアノと笛を響屋スタジオでダビングするというやりかたを採りました。
アコースティックな空気感、アンビエントがピアノや笛には必要なんである程度の広さのある場所のほうがいい。
小倉スタジオにはエレクトリック・ピアノがあるので、「アラエビス」 みたいにエレピを使う曲はこちらでレコーディングしました。
「わが町」や「洞窟探検隊」みたいにDUOで『せーの』でしか演奏できない曲は、響屋スタで一発録り。
すごい贅沢なスタジオ使い分けでしょ!


Q.野田さんのファーストアルバム「笛曼陀羅〜かなかな」で収録されていた「さくやこのはな」「花歌垣」の2曲が違うアレンジでニューアルバムにも収録されてますね?

野田:この2曲は、笛吹きデビューのライブにむけて、自分が吹く篠笛のために書いた最初の曲だったんですね!いま聴くと、笛吹きとしてはじめてステ−ジにたつ意気込みとそのうれしさがそのまま曲になってるな〜、ういういしいっ!というかんじがしますね。
作曲してから8年たった今も演奏してて新鮮さがちっとも失われないし、ライブのお客さんの人気も高い曲ですよね。
現在活動してる野田晴彦バンドはアルバム「笛曼陀羅〜かなかな」(02年)のときとはメンバーチェンジしてるし、ぼく自身の笛もマシになってるし、新メンバー・新アレンジによる「08年バージョン」として新たにレコーディングすることにしたんです。
「さくやこのはな」の少し遅めのテンポがオトナっぽくてめちゃカッコええでしょ!
「花歌垣」もピアノが入ったことで(02Ver.はシンセ)サウンドがカラフルになったね。
中村順ちゃんの多重録音による「ひとりサンバ隊」もユニークな「試み」を超えた効果がでました!

Q.このアルバム中で「一番ここがこだわった」または「苦労した」というところはありますか?

野田:まず、演奏の音量強弱表現かな。
f(フォルテ)とかp(ピ アノ)とかクレッシェンドとかのダイナミックスですね。
レコーディングの進め方が、「せーの」じゃなく、パーカッションか ら、次にギター・・・ というぐあいに「別々」に録っていった曲が多かったので、この曲のこ のシーンははげしくクレッシェンド、とか ここは急にpにする、とかをとくに意識しよう、と。
みんなで せーので演奏するときにはあたりまえにやってる強弱表現が、 別々に録音することで平坦になっちゃうと音楽のパワーが弱まるので、 コレ気をつけました。
笛に関しての個人的なことだと、新しいサンポーニャと仲良くするのに 苦心したかな。
6月にカスタムメイドで作ってもらった新しいサンポーニャを今回のレ コーディングで使ったんですね。 すごく澄んだピントのあった音がしてサイコーなんだけど、ピッチ、 アーティキュレーション等における 新しい楽器のクセや反応をおぼえて慣れるのけっこうタイヘン。


Q.いよいよ「マッハ家政婦さん」のCD化となりましたが(笑)、作者のイメージとしてはどういったイメージで作曲されたのでしょうか?

野田:とにかく、めいっぱいオモロイ〜曲を作りたかったんです。
前のアルバムに入ってる「青いケシ」とか「Lunny」のイメージ からくるのか、 なんかマジメで荘重な曲をやるバンドと思われることがあるらしくて (こちらは ゼンゼンそんなつもりはないのにね)、クラシック音楽みたいに<かし こまって> 聴かないといけない音楽と思われてたりして・・・(苦笑)。
もちろんじっくりきいてほしい曲もあるワケだけど、その対極にあるような ひたすらノーテンキであっかるくって、だれが聴いても楽しくてゴキゲンな曲を作りたかった。
大のオトナのミュージシャンが真剣におチャメ&おバカ やってるかんじって けっこうカッコいいんじゃない?と。これもインタビューの最初に話した『吊り革』の実感のひとつでしょうか・・・。
ブレイブ・コンボというアメリカのテックスメックス系パンク・ポルカのバンドがあって、 サックス、クラリネット、ギター、ベース、ドラムっていう編成で「ハッピーワンダラー」とか有名なポルカ曲をワサワサでヤカマしくてノーテンキでおチャメでってかんじで『パンク』に演奏するバンド。
すごく知的にいろいろ考えられてるし演奏力もレベル高いんだけど、ぜんぜんそんなふうに感じさせない『おバカ感』があって・・・・これがカッコいいんですね。
で、パンクなポルカのスタイルでオリジナル曲を書いてみようと!かしこまらせマセン、ガハハ!と聴いてもらえる曲をやってみようと! 笛はサックスみたいなノイズ感、ヤカマしいかんじは出せないけど、ぼくの吹く笛ななかで一番音域の高いソプラニーノ・リコーダーでいっそがしい〜感じを、そしてピアノがとにかく暴れ回って大活躍、「端正なピアノ」というイメージを覆す曲にしようと!
2007年12月のライブで披露したときはまだタイトルが決まってなくて、お客さんにアンケートでタイトル募集をしたんです。みごとにこの曲のイメージを把握してくれた「マッハ!家政婦さん!」というのがダントツで決まったんです。


ここで野田さんに小休止してもらい、ジャケットデザインの大戸千枝さん登場です!
注)ちなみに千枝さんは写真右の女性です・・・(笑)


Q.今回のジャケットデザインはどのようなものになりましたか?

大戸:今までで一番、シンプルでわかりやすいジャケットになったと思います。ジャケットを見て曲の雰囲気が伝わればいいなぁと思います。

Q.何かデザインする上で苦労した点や、工夫した点など教えて下さい

大戸:野田大先生の力作(笑)のライナーノートをキレイに読みやすく配置するのに苦労しました。
スペース上、小さい文字になってしまいましたが、CDを聴きながら読んで頂くと曲のイメージも、もっとふくらむと思います。


次はキーボード担当の赤星ゆりさんに来てもらいました!



Q.このアルバム中で「一番ここがこだわった」というところはありますか?

赤星:今回のレコーディングはギター2本、パーカッション、ピアノ、笛、というふうにだんだんに重ねていったのでピアノの出番のときは、出来上がっているギターとパーカッションのアンサンブルの音源の上に何を重ねようか、どんなことをやって盛り上げようか、どうやって色彩を重ねるか、その役割をいろいろ考えました。悩みもしました。
いろんなテイストの曲があるので、それぞれ求められる役割も異なるし。
特に「さくやこのはな」と「花歌垣」は2000年当初から数年間はシンセサイザーで入っていましたから、
今回の録音のアコースティックピアノでは出せる音もちがうし、求められる役割もちがうのでピアノとしてどう参加するか、発想から変える必要があった。
いい感じで曲に花を添えられたらいいな〜、
何度聴いても過不足なく程よく聴こえたらいいな〜、
良い脇役が果たせていればいいな〜、と思います。

Q.またこのアルバム中で「一番苦労した」というところはありますか?

赤星:演奏上苦労したのは、「草蛍」のメタロフォン(鉄琴)ですね。
思ったように音が出ないんだもん。
短い出番なのにずいぶんやり直ししました(泣)。
イメージとしては、ちょっとした瞬間に目の前を、ホタルがプ〜ンとさりげなく一匹飛んでいくような雰囲気にしたくて対旋律も可愛くしたつもりですが、いざレコーディングとなると思ったように音が鳴らせないんです、慣れてないので・・・。
ちっちゃなちっちゃなマレットで可愛らしい鉄の鍵盤を叩くのですが、力が強すぎたり弱すぎたりして。
ああ〜〜〜パーカッションの順ちゃん、代わりに弾いてください〜〜、
とお願いしたかったです(笑)。



次は自宅スタジオで録音をおこなったというギターの小倉さんです!!



Q.このアルバム中で「一番苦労した」というところはありますか?

小倉:今回は自宅スタジオで録音するものが多く、そうすると全員で「せ〜の!」とはいかなく一人ずつ録音して音を重ねていくことになるので、その状態でもなるべく一体感を損なわないようまず全員で仮のオケをライブ状態で録音し、それを聴きながら一人ずつ本番のテイクに差し替えていくという方法をとりました。

時間と手間がかかるやり方ですが、おかげで満足のいく仕上がりになりました。


Q.また今回のアルバムはライブで聞いたものがほとんどですが、「ここはライブとひと味違うよ」というとこなど有りますか?

小倉:どの曲もレコーディングならではという部分はあるのですが、中でも「あらえびす」はライブでやっていたものをレコーディングしてみて構成を変えよう、という話になって客観的に聴く事の難しさを改めて考えさせられました。

基本的な部分ではライブもレコーディングも変わる事は無いのですが、CDは作品として何度も聴かれる媒体なので大げさに言うと「長年の鑑賞に耐えうる演奏」の丁寧さみたいなところを現時点で出来る限り表現したつもりです。


Q.またギタリストとして、「ここを聞いてくれ」というところなど有りますか?

小倉:そこは聴く人が判断する部分でこちらがあえて言うとこではないのですが、それではあまりに愛想がないので一つエピソードを言うと「残照」のギターがメロディを弾く部分はあまりウェットにならずさら
りとした表現を心がけたつもりなんですが、そこのいい具合加減が本当に難しくて何度も録り直しをして苦労しました。

ぱっと見たり聴いたりしたものがあっさりな表現なようで実は大変というのはどんな分野でもあると思いますが、こういうところを上手に表現出来るようになるのは一つの大きな目標でもあります。


次はパーカッションの中村さんです!!



Q.このアルバム中での「一番こだわった」というところはありますか?

中村:ライブでは表現できないパーカッションのアプローチってのにこだわりました。
ライブではもちろん1人の中村で演奏していますが、このアルバムでは、曲によっては6人程の中村が登場します。
何人も自分が演奏できるってのも、レコーディングのおもしろさですね。

できるだけライブとの音の違いってのにこだわりました。




最後にもう一人のギターの岩谷さんです〜!!



Q.このアルバム中での「一番こだわった」というところはありますか?

中村:自分としては野田さんの曲のなかにPOPでJAZZYな香りが少しでたらいいなあと思いながら演奏しました。